当園では年長組が宿泊保育に行くのが恒例です。1月くらい前から子どもたちには予定を話します。子どもたちにも意地があって、不安なそぶりを見せないようにしています。しかし近づくにつれ、段々とどこか心配になってくるようです。
それはそうです。殆どの子が初めて親元を離れます。行ってみると実際、体調を崩す子もいます。一番のわんぱくと思っていた子が、意外に寝られなかったりもしました。でも子どもたちは、大人が思うほど「やわ」ではありませんでした。
Aちゃんは行きのバスに酔ってしまったようです。降車後、何度ももどしてしまいました。私たちはもしかしたらただの車酔いではないかも知れないと心配し、ご両親に来ていただきました。午後8時。ご両親が到着しました。この時、Aちゃんは随分と元気になっていました。私たちも泊まらせてあげたい、という気持ちがありました。そこでAちゃん、ご両親、保育者で話しをし、最終的には本人の気持ちを大切にすることにしたのです。
Aちゃんはご両親の顔を見て、里心がついたはずです。だから「帰る」と言うに違いないと思いました。でも頑として「泊まる」と言うのです。ご両親には申し訳なかったのですが、帰っていただきました(お騒がせしました)。勿論、Aちゃんは無事に翌日を迎えました。
この出来事には色々考えさせられました。一番に思ったのは、おとなしいAちゃんの成長。口数が少ないお子さんですが本当に体だけでなくて、心も大きく、丈夫になっていたのです。もう一つはお友達の存在。お父さんやお母さんも大好きですが、お友達のことも大好きなのです。だから帰りたくなかったのですね。こうして子どもたちは大きくなっていくのです。
(園長)